参加人数の大幅増加に伴い、加害者更生プログラムを1クラス新設いたします。
10月19日から、毎週火曜日の午後8時〜10時のクラスが新たに開設されます。
(オンライン・zoom)
他の曜日に参加の方々の振替も致しますのでご連絡ください
毎週・プログラム開催日
毎週・日曜日 オンライン・zoom 午後1時~3時 午後4時~6時
毎週・火曜日 オンライン・zoom 午後8時~10時 (10月19日より新規開設)
毎週・水曜日 オンライン・zoom 午後1時~3時 午後8時~10時

ステップのDV加害者更生プログラムに52週参加された、Mさんから体験談を頂きました。
掲載の同意を頂きましたので、原文のまま紹介します。
【ステップ 52回の受講を終えて】
1.ステップに通う前の自分
2.ステップに通うきっかけ
3.ステップでのターニングポイント
4.最後に…
1.ステップに通う前の自分
・男尊女卑の考えが強い
→男は外で働き女性は家庭を守る、女性は男性の言う事を聞く事、女性は男性を立てるものという考え方。
・短気で相手を支配したい気持ちが強い
→自分の気に入らない事があると機嫌が悪くなり怒る。自分は相手や家族のために正しい事をしていて、相手が自分を怒らせているという考え方。
・世間体や他者からの評価をとても気にする小心者
→世間面は良い。怒りや暴力の対象は家庭内のみで決して職場ではしない小心者。他者と自分を比較してそれが羨望になる事が多い、自己肯定感が低く承認欲求が強い性格。
2.ステップに通うきっかけ
・海外に単身赴任をしていたが、コロナの感染拡大のため一時帰国。初めての在宅勤務で自身も妻もストレスが溜る毎日で喧嘩も多かった。
・些細なことがきっかけで、妻に対して子供達の目の前で暴力を振るった事が発端で別居。
・発端となった暴力行為以外にも、「バカ」「ダメ人間」「能無し」等、妻や子どもたちの人格を傷つける言葉を使っていた。また、妻に対して、「オレの稼いだ金」といったモラルハラスメント的な態度もとっていた。
・自身の病的な面を認識して精神科を受診。カウンセリングも受けたが腑に落ちなかった。そんな中、インターネットで偶然ステップを発見して1回目を受講。自分の知らない考え方を学び、自分を変えられるかもしれない、との希望を抱いた。
3.ステップでのターニングポイント
3.1受講目的の書き換え
・ステップ受講当初は“自分自身がDV加害者でなくなること”を目的に掲げていた。
・7回目が過ぎた頃、当時既に1年位通われている方から、「ゴールはもっと大きく持った方が良いよ。私はそもそも幸せな人生を送るために生きていると思っているので、怒りのコントロールは一つの通過点だと思うよ」、という発言が心に刺さった。
・DV気質を治す事に留まらず、自分の人生自体をもっと幸せで豊かなものにしたいと考え、目的を“自分自身が幸せで豊かな人生を歩むこと”に書き換えた。これが“幸せ”や“豊かな人生”とは何かを考えるきっかけにもなり、自分自身の迷った時の判断の軸にもなっている。
3.2 自分自身の中の意識変化
・自分の欲求充足を自分でできる様になり余裕が出来てきたため、受講目的を“自分自身や自身の大切な人たちが幸せで豊かな人生を歩むこと”に変更した。自分や相手にとって、“幸せ”や“豊かさ”とは何か?を深く考える様になった。
・具体的な変化としては、
① この頃から妻に対して“さん”付けで呼ぶ様になる
② “相手は変える事が出来ない、変える事が出来るのは自分だけ“という、原因自分論を意識することでイライラを感じなくなり怒らなくなった。
③ 自分の基本的欲求は自分で満たす事を意識して行動できる様になり、相手の気持ちに寄り添うという考え方ができる様になってきた。
3.3 愛する決意
・自分の欲求を満たしてくれるのが妻や子供達の役割だと考えていたため、自分は妻や子供達の事を本当の意味で愛していなかったと気付いた。今の自分が存在するのは妻や子供達のお陰だと腹落ちし、妻や子供達が幸せで豊かな人生を歩める様に支援していきたい、彼女たちの心に寄り添っていきたい、と自然に思える様になり、本当の意味で家族を愛する決意をした。
・ただ、“愛:100%”の状態ではなく、“恋”の感情が入り込むことがあり、今でも“愛”と“恋”が入り交ざった状態だと思うが、以前と比べたら愛の割合が大幅に増えてきていると思う。
3.4 変わり切れない焦り
・いくら自分が頑張っても現状が大きく変わらなかったため、「成果が出ないのは、自分が変わり切れていないためでは?」と思い、受講頻度を週1回から週2回に変更した。今になって思えば、自分の行動を変えて閉塞感を打開しようとした事はステップでの成果の一つだと思う。
・学びや体験談を2回聴く事で、自身の学びを深堀できた。また、立場の異なるより多くの方々のご意見を聞く事で、様々な切り口から物事を見つめる事ができた。起きている物事は中立であり、物事の捉え方や自分自身の考え方に対して広がりや深みが出てきた。
・特にご夫婦やDV被害者として参加されている方々のご意見は、被害者の思いや心の回復、関係改善の過程、加害者への思い等を直接聞く事ができ、自分のこれまでの言動の振返りやこれからの方向性について深く考える事が出来た。それと同時に、妻や子供達の受けた苦しみや辛さを思うと、申し訳ない気持ちで一杯になった。自分の大切な人達にもう二度と辛い思いをさせない様に自分を変え続けていきたいと改めて強く感じた。
3.5 52回受講の体験談の発表
・DV加害者の特徴として、自身が行った暴力行為を正当化・矮小化・ごまかす傾向にある。DV加害者から更生するためには事実と向き合う事が大切であると学び、今回の体験談のまとめを通じて、過去の自分と再度向き合う事が出来た。
4.最後に…
・ステップを通じて、怒ることはなくなり、自分の基本的欲求は自分で満たせる様になり、相手の思いに寄り添う事、相手を支援する事を学び徐々にですが実践できる様になりました。
・ステップで学び実践した事は自分自身の一生の財産になりました。ありがとうございました。
・一方、自分の歪んだ価値観、相手を支配しようとする考え方、人間関係を破壊するような思考は自分が長い人生の中で染みついた考え方であり、そう簡単に100%塗り替えられないので、52回のプログラムが終わったとしても、定期的にステップに通い続けたいと思います。
・自身がステップで学ぶ事に理解を示してくれた妻と子供達に感謝しています。私の暴力、暴言で沢山傷つけてしまい本当に申し訳ありませんでした。その様な辛い思いをしたにも関わらず、更生のきっかけを頂き本当に感謝しています。また、栗原理事長、スタッフの皆さん、参加者の皆さん、皆さんのおかげでここまで来ることが出来ました。ありがとうございました。そして今後ともどうぞよろしくお願い致します。
以上
ステップが更生プログラムを初めて11年目になります。
その活動内容が本として出版される事になりました。
著者は20年以上DV被害者・加害者に関わってきた、ステップ理事長・栗原加代美です。
是非お求め頂きまして、ご感想をお寄せください。
被害根絶のためには加害者を減らす取り組みが必要だと強く思いました。
もうひとつ「加害者に変わってもらう」という選択肢を加えたいと考えたのです。
新型コロナの感染は下火になってきましたが、感染抑止のため、
ステップの加害者プログラムは、平成4年3月31日まで、従来通り
オンライン zoom にて継続開催致します。
対面を心待ち下さった皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、
何卒ご協力の程、お願い申し上げます。
尚、加害者プログラム以外の活動 (各種面談・被害者支援プログラム・夫婦塾・等) は
11月1日より、対面・オンライン・電話にて活動を行いますので、
予約時、ご希望の方法をご連絡下さい。
今後の推移により開催方法に変更が生じましたら、
HPに掲載いたしますので、ご確認をお願いいたします。
お問合せ先、step-zoom@c09.itscom.net 又は 080-5530-8047
【これまで、そして52回を振り返って・・】
♦出会い
夫:大学を卒業後、高校の同窓会があり、そこで元同級生に紹介を受け出会った。
初めから結婚を強く意識した交際だった。妻の身だしなみや体型にはこの頃から干渉していた。
妻:初めて会った人なのに一緒にいることが居心地がよいと思った。
自分と価値観が似ている。「けんかするほど仲がいい」
♦結婚にあたり…
互いに課題。
夫:自分の気持ちに浮き沈みがあること。
妻:「私は大丈夫。一緒にやっていける。」
・結婚する前にもケンカのようになることはあったけど、それもいずれは仲直りをすることができる。
・「ケンカするほど仲が良い」といううちの一つと考えていた。
・喧嘩や騒乱を山火事に例えて、火事にならなければ芽吹かない事柄もあるとして正当化。
結婚初期①
夫:支配的だった。妻の体型や身だしなみについて、実家の両親共々干渉。
妻はそのことに苦痛を訴えるようになった。
・全く関係の無い事まで引き合いに出して妻を責め立てた。
・「当然のこと」、「妻のため」という確信を持って行動していた。
♦結婚初期②
夫:相手を「ただ傷つけるため」の悪口雑言(いわゆる言葉の暴力)
これら習慣はこれまでにも・・・。
→大学の頃には既に、激しい暴力と共に両親(特に母親)等に行っていた。
→これはもう自分の「癖」なのであり、生涯治まることのない荒々しい部分なのだと正当化。
美化、危険な陶酔感。
妻:自分はフルタイム 夫:不定期
男性が働く、女性は家を護る。うちはこれと逆だと考えていた。
・夫の調子が悪く、家事をしないで部屋で横になっていると責めることがあった。
♦出産前後
夫:第一子(長男)、第二子(長女)いずれの出産にも立ち会う。
当初は誇らしくさえあった。→しかしこれは後に驕りとして醜い部分が肥大化。
長男出産直後は、怒りの感情は少なかった。
・育て方を巡って自身の実家が干渉してくるようになった時、自分は妻を護ることをせず、
・自身が勝手に無意味な怒りを爆発させて、しばしば家族の心を大いに傷つけた。
意味の無い、爆発的な怒りを、自身ではどうコントロールしていいのか判らなかった。
・ハネムーン期と爆発を典型的に繰り返す。
♦自宅購入、引っ越し後①
夫:自分はいつ爆発するのか、自身でさえ判らない状況。自身の怒りを正当化する感覚が強かったのか・・
自身が根拠のない怒りに支配されていたともいえるだろう。
・引っ越しして間もなく、ほんの些細なことで怒りを爆発させる。
身の回りの物(ガラスや瀬戸物含む)を床に叩きつけ、新居のダイニング、キッチンを破壊。
・長男の誕生日の時、楽しく晩酌。次の瞬間騒いでいる子供達を怒鳴り付け、
守りに入った妻に殴る、蹴るなどの暴行。
・不安定な心から逃げるために飲酒。→こうしてステップと出会うまで、通算3回警察沙汰を起こした。
♦自宅購入、引っ越し後②
妻:暴れた状態から、落ち着いた夫は優しかった。
・ささいなことでキレてしまうことが、次第にエスカレート。
1回目 さすがに警察を呼べばもう二度としなくなるだろう
2回目 また繰り返し。こんなことで呼んだらいけないかもしれない。
→もう警察には連絡できない。家族にもまたかと思われてしまう。
3回目 警察の方「このようなことが続くのであれば別れるということも考えた方がいい。
→もうどこにも相談できない。
・どうしたらよいか先が見えない時にステップを知る。
♦ステップとの出会い
妻:最初の面談、理事長とミスター、九州から見えていたNさんの3人は私のことと合わせて、
夫を否定せず、受け止めてくれた。
・私は夫が嫌いなわけじゃない。家庭の中でケンカではなく暴力になり傷つけ合い、
すべてが崩壊してしまうことをやめたかっただけ。
・「とにかくご主人を一度連れてきて下さい。」→それだけで救われた気分だった。
♦ステップとの出会い
夫:訪ねたきっかけ→妻が一度事務所に伺った時、
危害を加えていた自分の側にも立って話を進めていただいたから。
・正直、この時はまだ妻の側にも原因があるに違いない、
出る所へ出てギャフンと言わせてやろうという気持ち。
理事長にあえて挑戦的な態度を示したりもした。(今から考えれば顔から火が出そうな話である。)
・「やり直したい。けれどどうやったらいいのかわからない。
もうこんなに自身の罪状は積み上がってしまった。
最早手遅れだろう。ただ、償いとなるのならば、妻の選んだこの場所に通ってみよう。」
♦受講中(プロセス)
夫:はじめのうちは、まだ積極的に用語、理論を口にしたり実践することに抵抗があった。
・まずは自身で目標を立てた。徳川家康の遺訓の中から「怒りは敵と思え」。禁酒。<
・怒りに関しては、今まで自分が正当化してきた悪習だったからなかなか難しかった。
♦受講中 5回目の頃
夫:通い始めて5回目程の頃、5日間程調子が悪く、寝室とは違う別室に籠ってしまっていた。
・家族が就寝した後、ウィスキーを大量に一気にあおった。自分の苦痛を思い知らせてやろうと、
妻子の眠る寝室に大声を出して飛び込んだ。長男を大声で怒鳴り脅し、
眠る娘を踏みつけ、妻に殴る蹴るの暴行。
・大変な過ちだと自覚したが、「どうせ変われねえんだ」と投げやりな気持ちを引きずることとなった。
その直後の加害者プログラムに、色々な方から批判、罵倒を覚悟で出席。
この場では決して暴力が肯定された訳ではないが、
制御不能で苦悩している自分に対しての温かな励ましがあった。
ここから主体的に本気で取り組もうと思った。
♦受講中 5回目の頃
妻:大声を出して部屋に入ってきた日。「もうこれで終わった」と思った。
プログラムに参加していてもこうなってしまう。
・以前とは少し違い私は絶望ではなかった。
ステップで一緒に参加してく中で、自分を立て直す方法を学んだ。
・こんな状況だけど、それを語れる場所がある。強い味方。こんな状況だけど、自己充足。
その恐怖に支配されちゃいけない。私は私でいい。家を子供と飛び出してホテルに一泊。
GOTOもやっていたので格安。→リフレーミング
・夫は今、最善の選択をしている。暴力は絶対に許せない。それを夫も分かっている。
その分やってしまったことにかなり苦しんでいる。
気分障害について自立しようとしているのが分かる。
♦受講中
夫:ある時、傾聴だけやってみるかという気持ちになりやってみた。
後は芋づる式に受容、尊敬、支援、交渉、信頼、励ます。
(もし正式な順序があったのならすみません)
・毎週ステップのセッションに参加を続けること、様々な方々の話を聴いたり、
また時にはこちらから働きかける、そして自身の行動を振り返り、
どの部分をどれくらい調整した方がよいのかじっくりと考える時間、
場があるということはさながら自身を改めて鍛錬しなおしているようだった。
・ちょっとしたことでイライラしにくくなってきた。感情で叱らなくなってきた。妻との喧嘩も減った。
そして、妻が、家族がもっと好きになった。心の根拠のないマグマだまりが、とても小さくなっていた。
♦今、思うこと…
妻:52回の振り返り、過去を見つめなおすことはかなりつらかった。
だからこそ、この52回通っての発表は大事な通過点。
・この振りかえりを二人で作っている最中、今、気が付いたこと。
そうだったと再認識することがあった。
・夫は今、暴れるほどの怒りを表すことはない。夫の両親や兄弟に対しても同じ。
・体調のよい時も、悪い時も、とにかく通い続け、ステップでの学びを真摯に受け止める夫。
通い続けてくれたことで、私自身が大切にされているという感覚。
♦今、思うこと…
夫:これから自分達だけで学んだ事を実践していくことが本当の意味で試される。
・自分がトラブルをもたらしていたのは、そんなに過去の話ではない。
・自身の周りを疾患を理由に傷つけず、自己を効果的に充足させ、家庭の安定を護るのか、日々考えて
実践することを生涯に渡って行う。
・厳しい事ばかりではなく喜びもまた同じくらい感じてはいる。
まるで同じ相手と二度結婚する機会が与えられたような気分である。
♦みなさんに感謝
・ステップの栗原理事長、スタッフの方々。
ともに闘ってくれた日曜16時のクラスを始めとする参加者の皆さん。
ありがとうございました。