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イギリスのDV加害者更正プログラム

ステップのスタッフ、イギリスの加害者プログラム事務所・訪問

   「イギリスのDV加害者更生プログラムとステップの目指すところは同じ!」
2013年4月にイギリスのDV加害者更生プログラムを実施している組織‘respect’のロンドン事務所を訪問し、プログラムオフイサーのコリンさんからお話を伺いました。コリンさんのお話は、ステップが実施している事・目指している事と共通点が多い事に驚かされました。‘respect’は、1980年代から法的に罰するだけでは、暴力の連鎖を防止できない事から、包括的な地域に根付いた加害者更生プログラムを実施しています。イギリスでは、DVによる損失額を何と年間約5.5兆円がDVによる医療・司法・社会・経済損失だと計算しています。社会全体でDV防止に取り組むことが不可欠と言う認識が国全体で定着しつつあります。‘respect’は、地域の医師・教会・住民組織・雇用主などキーパーソンへのDV防止啓発活動と地域での連携強化に取り組んでいます。

‘respect’のDV加害者更生プログラムの参加者は、このような地域の取り組みから、自分がDV加害者と気付いたり、家族・隣人・友達から勧められてきた人達です。プログラムの基本は、『Believe in yourself- you can change if you really want to choose to stop』:あなた自身を信じて-あなた自身が本当に暴力を止める事を選択したいのならあなたは変われる。加害者自身が変われる事を信じ、尊重した人間関係を築けるように変化する内容を作る努力をされています。プログラムの内容は、個々の問題に焦点を置くのではなく、解決能力に焦点を置いています。組織の名前でもある‘respect’と言うのは、尊重する意味であり、自分自身も尊重し、尊重した人間関係を築くことを意味しているそうです。この基本理念は、ステップが実施している尊重した人間関係を築く事を目指している加害者更生プログラムと同じです。

‘respect’のプログラム参加者の70%は、暴力行動が無くなる変化があり、参加者の25%は、劇的に行動が変化し、周囲から尊敬される存在になる程に変化しているそうです。ステップの参加者の多くも、暴力行動が無くなり、中には、‘respect’と同じように劇的に行動が変化され、家族から尊敬される存在になっている方々も居ます。

イギリスで加害者更生プログラムのパイオニア的存在の組織‘respect’とステップが目指すところが同じであることに希望と勇気を頂きました。そして、日本でも社会全体でDV防止に取り組めるような働きかけも必要だと強く感じました。
by npo-step | 2013-08-20 15:49 |   お知らせ・スタッフの声