ステップのDV加害者更生プログラムに参加されたSさん、DVが原因で別居や妻から離婚を言われた時も有りました。Sさんが21回参加された時、妻から「あなたは変わったので、もうステップに行かなくても大丈夫です」と言われ、妻からも「行かなくても大丈夫です」とのご連絡を頂きましたので、ステップでの学びを終了いたしました。ご本人から体験談を頂きましたので、原文のままご紹介いたします。

(1)Profile
 【職業・年齢】 会社員(40代)
 【家族構成】 妻(40代)、長男(4)
 【結婚歴】 12年
 【DV歴】 11年
 【DV内容】 暴力、暴言、威嚇、無視、経済的ダメージ、器物損壊
 【STEP歴】 1年(2015.4~2016.3 全21回(※))
 ※半年経過後、妻の承認の下、月1回ペースに
 【同居/別居】 2015.3~4 別居 2016.5~ 同居
 
(2)主なDV内容
 ・約束反故(※)を理由とした暴力
  ※帰宅時間遅延、家事不徹底など
 ・人格を否定した数多くの暴言
 ・反論は認めず屈服・謝罪するまでの異常な詰問
 ・家事不徹底を理由とした小遣い減額
 ・大切な音楽CD破壊
 ・携帯電話を窓から外に投げ捨てる

(3)STEPを通うことになったきっかけ

 ・妻が子供を連れて実家へ戻ったこと
 ・自分が癇癪を起こし、子供の目の前で子供の玩具を蹴飛ばす
 ・妻に対しての数日間に及ぶ暴言、無視

(4)STEPを選択した理由
 ①自身の怒り行動の改善を客観的な視点からも妻に示す必要性があると考え、
  更生プログラムを思いつきネット検索
 ②加害者の8割が更生しているという事実

(5)STEPで学んだこと・気づき
 ①他人は変えられない、変えられるのは自分だけ
 →善行動・自責行動の結果、他者の考え・行動も変わり、結果、皆ハッピーに。
 ②リフレーミング(マイナス思考をプラス思考で考えることの癖付け)
 →究極、「自身の人間力の向上につなげる神からの贈り物」と考える。
 ③I message(アイメッセージ)
 →「○○すべき」から「○○してほしい」と変えるだけで受け取り方が変わる。
  また「アイ」は「私」以外に「愛」が含まれていると考えると
  よりわかりやすい。
 ④上質世界は人それぞれ異なること
 →上質世界と現実を比較することで、マイナス面が際立つ。
  相手の立場を思いやる。
 ⑤怒りは悲しみの仮面
 →悲しさをストレートに伝えれば問題に発展しない。
 ⑥他の参加者の数多くの振り返りコメント
 →自身の改善行動への気づきや転用につながる。
 (下記⑦~⑩は特に印象に残ったもの)
 ⑦盛り上がっているのは自分だけ
 →人は迷ったり、意見を変える。良かれと思って自身が行動したことが
  意見を変えたことにより、報われないからと言って、「前にこう言って
  いたじゃないか」などと、相手を責めるのは間違い。
  むしろそんな自分は客観的には滑稽であると知る。
 ⑧伝えたいことと伝えられていることにGAPの可能性
 →自分が伝えたいことが相手には伝わらず、
  最悪誤解を生じさせる可能性を考える。
  同様に相手も同じ。そう考えれば、「怒る」の選択肢には至らない。
 ⑨怒る理由に例外なし
 →どんなケースでも怒り以外の行動はある(リフレーミング)
  怒ってはこれまで積み上げた時間、自分の努力、
  相手からの信頼は全て無駄になる。
  換言すれば、怒らないことを続ければそれだけ自分の人間力につながる。
 ⑩悪事の償いは倍以上の良い影響を与えること
 →死に際に「あなたが夫で良かった」と言われるのがDV卒業。
 ⑪他の参加者の改善プロセスからの自身の夫婦関係の改善プロセスへの当て嵌め
 →妻が攻撃的になるのは改善への過渡期と気づく。
 ⑫疲れているとき、飲酒時、病気の時は言動に注意
 →習慣づく前は我慢している背景もあり、もめごとに発展しやすい
 ⑬妻の改善には時間がかかる
 →同居してくれている妻は歩み寄りという我慢を強いられている。
  まだ傷も癒えていない。言いたいことを言えるようになることが第一歩。

(6)改善に効果的と感じたこと
 ①怒りを他人にコントロールされない
 →怒りは自分が軽蔑している物事から引き起こされていることを認識したこと。
  結果、自身が軽蔑している物事に自身がコントロールされているという
  こと⇒自身が軽蔑している物事以下の存在になる⇒「恥」につながることを
  強く認識。そこからそうした物事に左右されず、大きな心を持って対応する
  ことが自身の人間力を高めることにつながると意識して行動。
 ②言葉遣いの改善
 →ex. 飯を食う→ご飯を食べる といったレベルから意識づけ、習慣づけるこ
  とから、普段の行動へも良い影響あり 相手への表情(笑顔)も大切
 ③我慢し過ぎない
 →改善の途上では有効だが、我慢は継続しない。相手の立場の配慮をした上で、
  アイメッセージで交渉することが良好な関係につながる
 ④妻との振り返り
 →STEPの前日夜の食事時に妻と振り返りを実施。妻から改善していると思る
  点、改善して欲しいと思う点、嫌に思ったことなどをフィードバックしても
  らった。自己評価はせず、あくまで評価は妻に委ねて、不足事項の改善に
  努めた。STEP終了後はその当日の夜に、学んだ事、気になったことを妻に
  フィードバック。(STEPで学んだことは妻の両親に毎回メールで報告)。
 ⑤妻との同居生活の時間
 →改善すべき相手との時間が必要。それを受け入れてくれた妻の度量に 最大限の
  感謝。
by npo-step | 2016-03-31 17:59 |   参加者・体験談、ほか

M・Yさん 体験談

ステップのDV加害者更生プログラムに1年間(52週)通い続けた、M・Yさんが参加者の前で体験談を語りました。その時の内容を寄稿して頂きましたのでご紹介します

【私がしてきた事】
私は今年で44歳になります。妻も同じ年です。結婚して今年で21年になります。私がステップに通う原因になったのは 2013年の10月些細な事からけんかになり 自分の感情をおさえることができず、妻に暴力をふるいました。
その時妻から、あなたのしている事はDVですといわれました。その時は反省し、感情は自分でコントロールできると思い、自分で治すから離婚はしないで欲しいと妻に頼みました。妻は私の事を信じてくれて離婚はしませんでした。
しかしDVは自分で治せるわけはなく、半年くらいたった頃からまた些細な事でいつものように妻を攻め立てるようになり、2014年の10月に妻と喧嘩になり、また暴力をふるってしまいました。

娘の制止も聞かず娘の前で妻に暴力をふるい警察を呼ばれました。警察官の勧めでその日、妻と娘は駅の近くのホテルに泊まったそうです。自分の中ではいつものケンカくらいにしか思っていなかったので、すぐに帰ってくると思っていましたが帰ってこない。電話してもなかなかつながらなく 私もDVは自分では治せない事がわかったのでインターネットで調べていると、たまたまステップを見つけてすぐに連絡しました。
何回か妻に電話をすると 娘の学校の事があるからだと思いますが電話に出てもらえ、とりあえず話そうと言って家に帰ってきてもらいました。
妻に謝罪をし、ステップに通うので離婚はその後にしてほしいと頼みました。
妻は娘の事があるので受け入れてくれたのだと思います。
後で聞いたのですが、警察に被害届を出すように勧められたのに届けを出さなかったのは、娘を犯罪者の娘にしたくないとの思いから出さなかったそうです。本当に妻と娘には謝っても済む問題ではないと思っています。

私が妻にDVをするようになったのは 子どもが生まれてからだと思います。もともと自分勝手で短期な性格なので ジェンダーバイアス的な考えかたはないのですが、今思うと自分の思い通りにならないと不機嫌になったのでDVをするような考え方の人間だったのだと思うのですが、妻が私に合わせてくれてうまくいっていただけだと思います。

私は家事や子どもの世話など手伝いましたが、以前のように妻は私にかまっている暇もなく、子ども優先で私の言う事やわがままに答えてくれなくなり、不満がたまって行ったのだと思います。
段々私もおかしくなり私は家の中をきれいにしだし、汚れるとなんで掃除をしないと妻を攻め立てるようになり、自分のルールに従わないとすぐにキレました。

娘が生まれて2、3年たつと妻も私にひどい事を言うようになり、ヒートアップすると、思ってもいないことを言って傷つけて 妻もヒートアップして私にひどいことを言って、それ以上言われるとキレるから止めてくれと言ってもやめないと、この頃から妻に手を上げるようになりました。
私はこれ以上言わないでくれと警告したのに、それ以上言う妻が悪いと思っていたので、反省も何もなく自分の感情のまま妻に当たりちらしていました。娘も小学校高学年になり、勉強の事や学校の事などの、しつけをしているつもりでしたが、今思うと些細な事で説教しまくり自分の感情が収まるまで怒り、娘を虐待をしていたと思います。妻と娘は私に怯えながらこんな生活を11年も送りついに2013年にいたりました

【スッテプでの学び】
ステップで気づいたことはみなさんおしゃられますが、怒りは相手のせいではなく、自分で選んでいる。まずこの事をステップで学んだ事が私を大きく変えるきっかけになったと思います。負けるが勝ちも自分の中では今まで自分にない考え方でした。ケンカになると負けたくないので、自分が悪くても決して謝らず、自分の気がおさまるまで永遠と説教していました。自分の中の上質世界を押し付けているだけだった。他人と過去は変えられないのに、妻が自分の言うことを聞くまでしつこく言い続けていました。

【実践してきた事】
命にかかわること以外怒らない。7つの良い習慣、特に傾聴に気を付けました。私はいつの間にか全く妻や娘の話をきかなくなっていました。自分が実践してきたことは、とにかく怒りの原因は相手が悪いのではなく自分が怒りを選んでいたことを認めて反省しました。
私は紙に書くのが好きではないので、日記をつけたりしませんでした。その代わり自分がわかりやすいように毎日自分のしてきたことを考え反省し、勉強のテキストとなった横浜クリチャン日記で毎日勉強しました。
良い言葉で自分の心を満たすと良いとスタッフの方に教えてもらい、毎日今でも欠かさず読んで勉強しています。とにかく毎日自分でアンテナをはり、良いことは取り入れて考えることにしています。

ステップは52回通ってプログラム終了となっていますが、私が1年以上通って感じた事はいろいろありますが、いろんな先輩方を見てきましたが、私個人の感想は52回ではなく52週以上通うことだと思います。早く自分を変えて妻や子供と暮らしたい、この気持ちは痛いほど良くわかります。だから一週間に3回も4回も通われているかたもいますが、 わたしが思った感想は、すごく変わる人もいますがまだ通った方が良いと思う方もいました。
私もそうですが、人間43年も生きてきた考え方を半年位で簡単に変えられません。だから焦らず毎週1回通って1年間かけて自分を再構築してください。ステップに来る人の考え方はみんな似ていると思います。ふりかえりで失敗した時の考え方など自分たちが普通と思うことは周りからは普通ではなく、自分勝手な考え方をしていると思います。
ふりかえりでは 正直に本当のことを言う。怒られるかもしれませんが、怒られてアドバイスをみんなにもらうことで自分自身と自分の失敗が周りのみんなにも良い影響をもたらしていきます。
私の心に残っている先輩の言葉です。自分の中の被害者意識を捨てる…これは自分の中に被害者意識が少しでも残っているとまた自分の都合のよい自分勝手な考え方になり自分が変われなくなります。
自分の安いプライドを捨てて相手に素直になる…安いプライドをいつまでも持っていると素直になれず自分が変化する邪魔をすると思います。

最後に…笑顔でいると周りも変わります。私は以前、意識しないでいつも不機嫌な顔をしていたと思います。ステップに通い笑顔でいることを意識していたら、周りの人が話しかけてくるようになりました。以前は感じ悪い人たちだと思っていましたが、他人は自分を映す鏡なのだと思いました。考え方も以前は悪いことが起きると何で俺ばかりこんな目に遭うんだとイライラしていましたが、物のとらえ方を変えると自分が成長できるチャンスとか、乗り越えられない試練は、神様は与えないと思うと辛いこともありますが、イライラすることなく乗り越えられるようになりました。
妻には怒っているとか全然治っていないとか、くだらないケンカの時に言われてしまいますがどちらかが死ぬ時に、あなたと生きてきて良かったと言われるように…
これからも努力していこうと思います。              M・Y
by npo-step | 2016-03-22 23:05 |   参加者・体験談、ほか

大分県でDV相談員等実務研修会を行いました。
今回の研修は、大分県と各市町村、警察のDVに関わっておられる職員さまが対象です。
日ごろからDV被害者支援に携わっておられますので、「DV加害者更生プログラムの可能性」と題して、DV被害者を守る為の加害者への対応、変わる原則、加害者更生プログラムを立ち上げた理由と学ぶこと、加害者の変化の実例を中心に研修を行いました。
終わった後、参加された市役所の方から、市の方でも研修してほしいとの打診や相談を受けました。

b0154492_1144841.jpg

by npo-step | 2016-03-02 12:23 |  これまでの活動