12月25日、横浜市金沢区役所で、DV防止啓発事業「~DV加害者プログラムから家族が再生できるように~」と題した講演会を行ってきました。
対象は、民生委員・児童委員や関係機関の方々です。
今回はステップのプログラムに参加中のTさんも仕事を休んで参加、DVの加害行為からどのように更生されたか、体験談を話しました。
Tさんは講演を行った地元金沢区に住んでます。顔見知りの人か来るかもしれない中、顔を隠さないで「DV加害者は変われます。被害者の方は絶望でなく希望を持って下さい。」と語り掛けました。
終わった後、参加者の方々から、暖かい励ましの言葉や拍手を頂きました。

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後記
DV関係の講演会と聞くと硬いイメージを持ちますが、今回は笑いが入ったりして、とてもリラックスした中での講演会となりました。
by npo-step | 2015-12-25 22:21 |  これまでの活動

記念誌に特別寄稿

今年ノーベル医学生理学賞を受賞した「大村智さん」は、理事長と同じ、山梨・韮崎高校の出身でした。同窓会では受賞を記念して記念誌を発行することになり、
その時何と理事長に特別寄稿の依頼が来ました。
出来上がった記念誌が送られてきましたので紹介します。    (スタッフ)

 「DVの負の連鎖を断ち切るには」 第15回卒業生  
NPO法人 女性・人権支援センター ステップ  理事長・栗原加代美

韮高を卒業して51年になる。
高校で過ごした懐かしい恩師や友の顔を思い浮かべながら原稿を書いている。
私は今、DV加害者更生プログラムを横浜の地で始めて5年になる。
夫婦間におけるDV被害者は3人に1人、命の危険にある人は9人に1人、結婚前のデートDVは5人に1人と内閣府は発表している。
DV加害者やストーカーに依る殺人事件が相次ぐ中で、更生プログラムの働きは意義深い。
加害者が変われないと言われる中で、ここに集う加害者の8割は、暴力行為から解放され、相手を尊重できるようになる。

この働きを始めた原因は、10年間のDV被害者を守るシェルター運営にある。
妻がシェルターに逃げてきても、夫が変わらない限り妻は一生安心して暮らせない
夫に変わって貰うことが、根本的解決になるのだと気付かされた。
相談に見えるDV被害者の妻たちの半数以上が抑うつ状態にある。
自傷行為を繰り返し、自殺を考える人も多い。
愛を誓い合い、子供までもうけた夫から叩かれ、無視され、「おまえは能なしだ、誰に食わせてもらっている、妻失格だ、母親失格だ、死ね」と怒鳴られ、自分も夫も信じられなくなる。
自分が悪いから夫がなぐるのだと自分を責める。
夫におびえ、自分の意見が言えなくなり、離婚を決断して逃げる妻も多い。
これが夫からDVを振るわれた妻たちの実態である。

このような妻たちが夫に変わってほしい、自分にできることはあるのかと悲痛な叫びと共に加害者プログラムに相談に訪れる。妻は夫がプログラムに参加する事を願い、そして夫が変わることを忍耐してひたすら待つ。
その中のあるものはDVを受けたストレスを子供に虐待という形でぶっつける。
虐待された子供は学校で友人にいじめという形であたる。
それでは大元のDVを振るう夫たちはどこからDVを学んでくるのだろうか。

DVの本質は暴力行為そのものでなく「日常化した力と支配の主従関係」にある。
妻が「奴隷化」することである。
さらに相手が言うことをきかなければ叩いていいという「暴力容認意識」。
これらの歪んだ価値観は社会のそこかしこにある。
父親と母親、親と子供、上司と部下、教師と生徒、部活の先輩と後輩など。
そう考えるとDV加害者も社会からの被害者であるかもしれない。
しかし、加害行為は複数の選択肢から選んだ彼らの責任である。
この連鎖を断ち切るには、DVのやめかたを学ぶ必要が有る。

ステップの加害者プログラムで連鎖を立ちきりたいと中学三年生の男子生徒が訪れ、プログラムに通ったケースを紹介したい。
父親が母親にDVをふるい、母親が彼を虐待し、彼が妹に虐待をしていた。更に学校でもいじめのリーダーとなっていた。
父親がプログラムに参加してDVが改善して家族に笑顔が戻り、彼もどうしたら虐待やいじめをやめられるのかと通い始め4ヶ月ほどで虐待やいじめから解放された。
連鎖を立ちきりたいと気づき、行動に移した彼に拍手を送りたい。
このケースに見られるようにDVの連鎖を断ち切るためには、DVだと気づいた夫たちが支配することを止めて「互いを尊重する関係」の素晴らしさを、身を持って子供たちに伝えることがDV根絶の大きな力になると信じている。

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by npo-step | 2015-12-12 10:30 |  これまでの活動

12月4日「娘が実の母親を鉄の杖で殴り、死なせてしまう」という痛ましい事件が神奈川県・平塚で起きました。
8日、テレビ朝日・ワイドスクランブルの番組がこの事件の内容を放送いたしました。コメンテーターとして理事長が出演することになり、私も同行しました。理事長は落ち着いてスタジオ入りしましたが、生放送なのでカメラの後ろにいる私の方が落ち着かず、無事に放送が終了した時はホッとした思いでした。
放送終了後、「私も母親に暴力を振るってます」との電話が入り面談を行うことになりました。良い結果が出ると良いですね。     (スタッフ)

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by npo-step | 2015-12-10 05:31 |  これまでの活動

ステップのDV加害者更生プログラムに通い続けておられるMさんから、52週終えての体験談を寄稿して下さいましたので、原文のまま御紹介します。

  ステッププログラム体験談
52週を終えて、自分の体験談を通しての今の心境を伝えさせていただきます。         

プログラムを受ける以前の私は、妻と別居状態にあり、夫婦で話し合いながら良い方向に向かっていきたいという思いの中で、しかし、2度による浮気に対して100%自分が悪いという気持ちからくる諦めと無力感、DVにおいては、自分はDVをしているという自覚のないままの、どうにもならない状態でした。
その私の背中を押してくれたのは、こんな私にでも手を差し伸べてくれた被害者である妻の言葉でした。                                         「私(妻)の事、子供の事、家族の事、自分の事を考え、自分が信頼を回復したいのであれば、ステップに行ってほしい。」とメールをくれた妻の勧めでした。
しかも、『努力してほしい、私も努力します。』とまで記してくれたのです。今思えば、二度の浮気による裏切りとDVという卑劣な行為をしてきた私に対して、被害者である妻の、私にはもったいない尊厳ある言葉でした。               
それでも当初は、長年培ってきた自己中心的な考えやお山の大将・殿様的な相手を見下したような言動で、妻はもちろん、ステップにて栗原さんご夫婦やスタッフさん達と接し、大変に失礼な気分を害する思いをさせてしまったことは言うまでもありません。深く反省しています。

こうしてプログラムへと入っていったのですが、思い返せば、常に妻の言動が、私の今に至る変化の大いなる手助けとなってくれました。
ステップでの夫婦面談をセッティングしてもらい話し合った時の妻の痩せた身体と恐怖に震え凍りついた顔、一生胸に刻んで生きていきます。
妻の言葉に精一杯こたえようと余裕のない自分の代わりに栗原さん夫婦が妻に言ってくれた労いの言葉、
「辛いなか、よくぞ来てくれましたね。さぞかし大変なことでしたでしょう。」と。
本当に暖かく思いやりにあふれた言葉でした。     
今にして思えば、このような人として大切な、相手を想いやり尊重していく心が、妻を、周りの人の心を、穏やかに安心に幸せにしていく世界を創る源だと思います。そして、このような心を持った人たちのプログラムだからこそ、私に変化を齎せてくれたのだと感謝しています。

DVが被害者に与えるダメージは、加害者には到底理解の出来る事ではないと思います。だからといって、そのままで良いわけがありません。加害者は、被害者の受けた心の傷を思い、知る、思い続け知り続け理解し続け、被害者の傷を癒していく責任と義務があると気づかせてもらいました。
ステップでの学びで、人にはそれぞれに上質世界(願望)があり、これを認め理解し尊重する。全ては自分が選択してきた行動である。起こりうる全ての現象・原因は、選択してきた自分に100%ある。
全行動の思考と行為を、人間関係を良くする7つの習慣を使い変えることにより、怒り・DV行動をしない人へと変化していく。この学びを実践し気づき、また実践を繰り返しながら、加害者同士気づき合い、ステップでの栗原さん以下スタッフの、加害者を変われない人としてではなく変われる人として尊重し信頼してくれる気持ちや心に助けられ、出来る事から勇気をもって意識し実行し習慣化していく事をやり続けています。 
この私の意識と気づき、実行しようとする勇気と行動は、被害者にしてしまった妻への謝罪の心と、妻に幸せになって欲しいという願いが原動力となっています。
妻には謝罪と感謝の心でいっぱいです。  

こうして52週にわたり、学び気づき実践していく中で、本当に、過去の自分を知り反省し、相手を知ろうとするようになりました。この反省が非常に大きな意義があると感じています。反省を通して過去の自分を知り理解することが、変化していく自分の大きな要因となりました。己を知らずして、変化なしです。
自己中心的な考えから、先ずは相手の事を最優先に考える、自分の周りの全ての人が幸せになるにはで考え言動に移していく、自分が、周りの人を楽しく穏やかで温かくホッとしてもらえるような存在になりたい。その為にはどうしたらそうなれるのかで実践してきました。そうすると、不思議なことに、怒る暇がないのです。自然と、怒りは出なくなっていくのです。

しかし、この私の変化が私の目的ではありません。
私の目的は、被害者の妻が、心の傷を癒し立ち直り幸せになってくれる事です。
変化した自分が、少しでも妻の助けとなり、勇気づけとなり、頑張れる力となり、傷を癒し幸せへと向かえるように、妻の幸せが最優先に実現したときに初めて、私は更生したかと思えるのではないかと思います。

妻の生きる指針である、
『相手を尊重し、自らをよく省みる』
私もこの言葉を生きる指針として、ステップさんにお世話になりながら学び続けていきます。尊敬する妻に少しでも追いつきたいのです。
まだまだの自分で、どうしようもない自分で、それでも努力していこうと、
志して生きていきます。             
by npo-step | 2015-12-01 22:31 |   参加者・体験談、ほか