10月にステップのDV加害者更生プログラムを52週参加された方が4人おられます。その中のKさんから体験談を頂きましたので、原文のまま紹介します。

「ステップの52回の効能について」 

 ステップでのDV加害者更生プログラムを知ったのは、1年程前2度目の別居の後、妻からのメールでした。別居前、妻と子供達との関係は悪く、自宅の中で私一人が、話についていけなかったり、帰宅すると無視されていると思っていました。日々自宅に帰ると妻や家族の行動にイライラし、なんとか笑顔で接しようと考えていてもなかなか実践できずにいました。そんな時に、長男を些細なことで殴り制止に入った妻にも怪我をさせてしまい、妻や子供達を精神的な限界に追い詰めてしまった為、妻の要望で私が自宅を出る事で別居となりました。

 当時の私は、子どもが悪いことをして、それを問い詰め、嘘を言ったので叱っただけ。逆ギレした息子が親に唾を吐きかけて挑発してきて、父親として、我慢の限界に達したのでキレて殴ったのだ。ただの親子ゲンカの何が悪いのか?と正しい状況を把握できずにいました。

 「私は全く悪くないのになぜ、家を追い出されないといけないのか?」と思っていたのでした。
 その頃の私の物事の考えを振り返ると以下の様でした。
・全てを勝ち負けで考え、勝ち続ける必要が有る。
・正しい事をするべきである。
・手(暴力)を出さなけば何をしても良い。
・自分は、誰よりも優れていて正しい事をしている。
・自分に甘く他人に厳しい。
・使えない人とは付き合わず切り捨てる。
・家族に対し良き夫、良き父であると思い込む。
・毎日ギラギラ、イライラしていた。

 1年52回のステップを終えた今、その当時のことを考えると、私がしてしまった事は、20年来の妻へのDVであり、妻の注意が子供に向かっていることに対して長男への嫉妬であり、子供たちへの虐待行為でした。1度目の別居でモラハラではないかと考えたこともありましたが、妻の励ましを都合のいい解釈としてとらえ、反省もせず不倫をし、妻や子供たちを裏切りました。一旦は、怒り行動を我慢していたのですが、不倫のほとぼりが冷めたころ、再びDV行為が多くなりました。妻や子供たちは私に対し不審、不安、恐怖があり話しかけられる関係性など存在しない状況になっていたのでした。このような関係が背景にあり、長男は理不尽な父親に対し、苛立ち反抗したに過ぎなかったと今は思える様になりました。そんな長男の訴えを私は、受け入れられず、、殺人に近い暴力を用いて長男を虐待し、制止に入った妻に対し、力で振り払い手を骨折させてしまいました。さらに、育て方や考え方に対した暴言を吐きました。また次男は、そのような恐ろしい光景を見て、その後平然と翌日の準備をする父が人として、親として信じられず、精神的な虐待してしまいました。

 なぜそんな事をしたのかと今は思いますが、当時は、自分の行う事は正しいと屁理屈をつけて全て正当化していました。そして上にも書いたような良き父良き夫と思っていたのです。
 別居のきっかけと思っていた事は、すべて自分の誤った価値観が原因となっており、長男が些細な事をして嘘をついた事、これは私への警告だったと今は考えるようになりました。
 そして、都合のいい話ではありますが、今は私のしたことすべてを謝り、家族の事はどんなことがあろうと信じて疑わず、できるだけ、家族がしたいことを聞き、それを支援できるといいと考えています。子供達については、どんな事があろうと常に味方で、いつでも抱きしめてあげる心を抱こうと思っています。
 さらに私のした事は許されざる行為であり、あまりにひどいことをしたため、家族が私の変化を受け入れることがもうできないとも思っています。

 最近の私の物事の考え方は、以下のように変わってきました。
・考え方の相違が生まれても、常に引き分け、互いにwin winの関係が保てるように
 配慮をする。
・命に関わる事でなければ、違法な事でも全て受け入れる。
・手で行う事以外でも、言葉や態度で示す暴力もあるのでこれらを一切に行わない
 よう相手の気持ちに配慮する。
・自分自身は、間違いを屁理屈で正当化する、平凡な能力の人間。
・自分に甘いので、他人には自分以上に甘くする。
・僕自身の人生は、全て周りの人に支えられて成り立っている。
・以前の私は、家族の事を考えない、単なるわがままなDV夫であった。
 これからは普通の人になりたい。
・毎日、気楽に笑顔で、忙しい時でも、パワハラを受けても、まぁいいかで
 切り抜けられる。

 別居生活は続いており、家族とのやりとりもメールと手紙のみの状況ですが、仕事の面やプライベートの面などの対人関係は豊かになり、精神的なゆとりが増え、笑顔でいる時間が増えました。
 毎日自分の犯した罪を振り返り、家族の気持ちを考え、会える日が来たら私が間違えていた事が伝わるような振る舞いができる人間になりたいと考えています。そして、「私のDVは治った」と言い切れるように、死ぬまで2度とDV行為を行わない事を心に誓っています。

 書面では伝わりにくいと思いますが、自分でも不思議なくらい物事に対する考え方が変わってきました。そして、怒らなくなりました。今までは、我慢すれば怒らなくなると考えていましたが、今は、我慢すらしていません。だから、気楽に、笑顔でいられるのです。怪しい宗教などではありませんが、自分自身でも時々信じられない思いから、以前の自分の行動を思い涙が自然と流れてくることもしばしばです。

 そんなことが起こったのも全てステップに来て学んだ効能だと思っています。

 ステップでは、選択理論心理学を中心に、グループワークが行われます。個人面談も希望者にはお行っていただけますが、私の場合は、グループワーク参加前に一度行いました。あとは、毎週1回2時間のグループワークに1年間参加しました。DV加害者の多くは歪んだ価値観が原因となっていますが、価値観自体の形成は、それまでの人生でつくられて来たもので、習慣化しているものとなっています。その根底を変えるのは簡単ではないと思っています。そのため、毎週欠かさず、1年間続けて通う習慣を行う事にも大きな意味があるのだと思います。

 2時間のグループワークでは半分が「学び」の時間となり、選択理論心理学の関係や、被害者の事、プログラムを終了した加害者の体験談などを行います。
 もう半分は「振り返り」の時間として、1週間の自分自身の振り返りを行い、良かった事、悪かった事を加害者同士が腹を割って話をし、時にアドバイスを求めたり、互いにディスカッションする時間となっています。

 1年間という時間を初めは長く考えていましたが、続けていくうちに短く感じるようになりました。対人関係のことや、選択理論を学んでいる参加者同士も顔なじみになり、仲間となり、互いに良い人間関係が構築されてきますし。互いに尊重した関係であるがゆえに、「振り返り」の時間でもより良い人間関係が作られていて、互いに刺激し合い、時に慰め合い、叱咤激励されてきました。また、初回参加者から52回以上の参加者まで様々な方の振り返りを聞くことによって、過去の自分や未来の自分に気づかされたり、自らの目標や、日々の実践のヒントを得ることができます。

 週1回のステップの参加以外に重要なことは、「日々の実践」ですステップや選択理論心理学で学んだことで自分自身が出来ることを、日々の生活や対人関係の中で実践して行くのです。僕のように家族と別居や離婚が成立した方でも、会社や友人、両親、親戚など多くの場面で実践することで、自身の価値観が変わる手助けとなるのでしょう。
 このように「学び」→「日々の実践」→「振り返り」というサイクルを1週間続けて行くことでプラスのスパイラルになり、自身の変化が起こるのだと思います。
 私の場合、通い初めて3ヶ月間は妻や家族に固執し、嫌がらせをするような事をしてきました。6ヶ月くらいから自分の行動の記録を始めましたが、自分自身の変化を妻にアピールし続けていました。8ヶ月以降になりじっくり自分自身と向き合うようになり、「毎日の振り返り」と「1日の目標づくり」をはじめました。ステップに来てもすぐに変化を感じる方は多いと思いますが、「学び」→「日々の実践」→「振り返り」が習慣化して、無意識で相手の気持ちに立ち物事を考えられるような脳になるようには、多くのサイクルが必要なのだと思います。
この多くのサイクルを定着することを促せるのが、ステップの効能だと私は思います。

 単に、通い続けることも金銭的にも時間的にも大変だと思います。私が、1年間52回続けられたのは、参加者の皆様や、理事長をはじめスタッフの皆様の温かい言葉があってできたことです。そして、家族がこの場を教えてくれてくれた事、少ない生活費でも文句を言わずに、我慢してくれた事。両親が、私のこのような行為を認めてくれた事のおかげです。私に関わってくださった皆様に感謝するとともに、52回の感想とさせていただきます。
 ありがとうございました。

 そして、DV被害者の皆様悪いのは、すべて我々です。本当に申し訳ございません。不謹慎ではありますが、ステップの学びの場で私は、多くの笑い、笑顔を提供しています。それは、決してふざけているのではなく、我々が学びを続けるために必要だと思っているからです。負わせてしまった心の傷が深く、取り返しのつかないことをしてしまいましたが、私たちが変わるために、このような一見不謹慎と思える行為もお許しいただけることを祈ります。

 最後に、加害者では?とパートナーなどに指摘された方々、「自分は違う、そんな事をしていない・・・」そう思っているならば、是非一度ステップの門を叩いて下さい。私のように家族を傷つけてしまった悪人がどんな風に悩み変わろうとしているか、冷やかしに来てみてください。きっとDVや家族のことを違う目で見ることができると思います。

 まだまだ人間として未熟な私は、これからも、自分自身の学びを続けるため、継続して通わせていただきたいと思います。        (K・K)
by npo-step | 2015-10-26 21:58 |   参加者・体験談、ほか

ステップにDV加害者プログラムに通い続けたOさんから、52週を終えての感想文を頂きましたので、原文のまま紹介いたします。

 初めに、全国でも数少ない「DV加害者更生プログラム」を実施しているこの場に参加できることに感謝するとともに、栗原理事長にも感謝したいと思います。地方出身者の自分にとってステップに巡り合えたことを本当に嬉しく思います。

私は結婚当初から、20年間ずっと完全なモラハラでした。精神的DV(態度のDV)です。自分に不都合なことがあると、無視するDV、いやいや感を露骨に示すDV、相手を威圧するDV。自分の思い通りにならないと不機嫌のおうら感を表すことで、妻に対し、怒らせないように、不機嫌にならないように機嫌をとるようになる、ビクビクさせるようにしてきました。 
自分は、見かけ上は、外づらの良い人間で、会社や親戚にも優秀で完璧な人間に思われていたようです。外の人に対してはいい振りこきなのです。自分は完璧でなければならない、相手に嫌われたくない、自分の弱さを相手に見せられない人間でした。

 では、どうして最も大事な自分の妻にDVをしてしまったのか?何故大好きで恋愛して結婚した相手なのに、DVをしてしまったのか?それは結婚を機に、外とは違う中の世界(家庭)において、妻に対して自分を「王子様」のように取り扱ってくれる人と勘違いしてしまったのです。自分が常に正しいと思い込み、自分と価値観が違うとき、自分が否定されることへの恐怖感から相手を否定し、相手を認めず、自分の弱みを見せないために自分を正当化して強めていたのです。自分が悪く、謝るときもみかけ上の謝罪を行い、その場をうまく通り抜ければという気持ち(その場のとりつくろい)からの表面上の「ごめんさない」でした。自分は妻と対等の位置関係になかったのです。

 ステップでは、選択理論(思考と行為が行動と生理反応をコントロールする)と7つの良い習慣(受容する、傾聴する、支援する、信頼する、尊敬する、勇気づける、違いを交渉する)を毎週繰り返し学びます。ステップのゴールは怒り行動がなくなるだけではなく「相手を尊重」することです。更に「過去と他人は変えることはできない、未来と自分は変えることができる」ことも学びます。「相手に共感」する重要性も学びます。

 最初の数週間は、頭では理解できるもののなかなか身に入らず、理想論と現実との間でもどかしさを感じていました。しかし毎週通い続け、ロールプレイングを絡めながら繰り返し実践していくうちに、序々に少しずつ選択理論の考え方を自分の日常の行動に当てはめて、考えていけるようになりました。そして半年を過ぎたあたりから、自分と価値観が違う行為があった場面においても、どうして相手はこのような行為をとったのかを、相手に共感した上で思考と行為を変えることができるようになってきました。栗原理事長の辛抱強い指導のおかげだと感謝しております。
  
 自分はここで52回の学習を行いましたが、あくまでも通過点に過ぎず、これからも継続してステップに通い、更に選択理論を自分のものにしていきたいと思います。自分がどれほど変わったかは相手が感じることなので自分にはわかりませんが、自分の人生においてステップに出会えたことで、これまでの自分からの脱却のチャンスをもらえたことに感謝しています。 
                                O・H



  
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by npo-step | 2015-10-18 19:27 |   参加者・体験談、ほか

10月6日、神奈川県教育委員会主催の、人権教育指導者研修講座を行って来ました。参加者は、各市町村の教育委員会、社会教育委員、人権担当者、地域婦人団体・・・など、社会で大きな責任を担っている方々です。
そのような方々を対象に、DV・ストーカーの心理、~全ての人に加害者や被害者となる要因がある~ と題してた講座を行いました。
講座の中で、人権は身近な所から侵害を受けていて、誰もが気づかずにやっていることが多い、その1つにDVがある。DV被害者は、人権をすべて加害者によって奪われていく。
又、選択理論を用いて5つの基本的欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)は自分で満たし、更に相手の欲求充足のお手伝いをすることがより良い人間関係を築くことです。と話しますと、皆さん首をたてに振って納得しているようでした。
今回も、明るく楽しい講座となりました。また来て下さいとの言葉を聞きながら、会場を後にすることが出来ました。

( ステップでは、家庭内暴力・DV被害者家庭が一組でも少なくなるように、又必要時、適切な助言者が与えられることを願って、活動を続けております。)

     (会場の風景です。約80名の方々が熱心に受講してます)
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by npo-step | 2015-10-06 21:20 |  これまでの活動

今日(10月1日)フジテレビの番組「直撃LIVEグッディ 」にステップ・理事長が出演してきました、宮城で起きた、17歳の少女DV殺害遺棄事件に付いて被害者の心理を述べてきました。
局を出たら家に着くまでDV被害者の人達から電話が入り、一言一言に感動しましたと言われたり、被害者面談を行う人もおりました。DV被害で悩んでいる方々が多いと感じた一日でした。              (スタッフ)


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by npo-step | 2015-10-01 21:59 |  これまでの活動