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Mさん ステッププログラム体験談

ステップのDV加害者更生プログラムに通い続けておられるMさんから、52週終えての体験談を寄稿して下さいましたので、原文のまま御紹介します。

  ステッププログラム体験談
52週を終えて、自分の体験談を通しての今の心境を伝えさせていただきます。         

プログラムを受ける以前の私は、妻と別居状態にあり、夫婦で話し合いながら良い方向に向かっていきたいという思いの中で、しかし、2度による浮気に対して100%自分が悪いという気持ちからくる諦めと無力感、DVにおいては、自分はDVをしているという自覚のないままの、どうにもならない状態でした。
その私の背中を押してくれたのは、こんな私にでも手を差し伸べてくれた被害者である妻の言葉でした。                                         「私(妻)の事、子供の事、家族の事、自分の事を考え、自分が信頼を回復したいのであれば、ステップに行ってほしい。」とメールをくれた妻の勧めでした。
しかも、『努力してほしい、私も努力します。』とまで記してくれたのです。今思えば、二度の浮気による裏切りとDVという卑劣な行為をしてきた私に対して、被害者である妻の、私にはもったいない尊厳ある言葉でした。               
それでも当初は、長年培ってきた自己中心的な考えやお山の大将・殿様的な相手を見下したような言動で、妻はもちろん、ステップにて栗原さんご夫婦やスタッフさん達と接し、大変に失礼な気分を害する思いをさせてしまったことは言うまでもありません。深く反省しています。

こうしてプログラムへと入っていったのですが、思い返せば、常に妻の言動が、私の今に至る変化の大いなる手助けとなってくれました。
ステップでの夫婦面談をセッティングしてもらい話し合った時の妻の痩せた身体と恐怖に震え凍りついた顔、一生胸に刻んで生きていきます。
妻の言葉に精一杯こたえようと余裕のない自分の代わりに栗原さん夫婦が妻に言ってくれた労いの言葉、
「辛いなか、よくぞ来てくれましたね。さぞかし大変なことでしたでしょう。」と。
本当に暖かく思いやりにあふれた言葉でした。     
今にして思えば、このような人として大切な、相手を想いやり尊重していく心が、妻を、周りの人の心を、穏やかに安心に幸せにしていく世界を創る源だと思います。そして、このような心を持った人たちのプログラムだからこそ、私に変化を齎せてくれたのだと感謝しています。

DVが被害者に与えるダメージは、加害者には到底理解の出来る事ではないと思います。だからといって、そのままで良いわけがありません。加害者は、被害者の受けた心の傷を思い、知る、思い続け知り続け理解し続け、被害者の傷を癒していく責任と義務があると気づかせてもらいました。
ステップでの学びで、人にはそれぞれに上質世界(願望)があり、これを認め理解し尊重する。全ては自分が選択してきた行動である。起こりうる全ての現象・原因は、選択してきた自分に100%ある。
全行動の思考と行為を、人間関係を良くする7つの習慣を使い変えることにより、怒り・DV行動をしない人へと変化していく。この学びを実践し気づき、また実践を繰り返しながら、加害者同士気づき合い、ステップでの栗原さん以下スタッフの、加害者を変われない人としてではなく変われる人として尊重し信頼してくれる気持ちや心に助けられ、出来る事から勇気をもって意識し実行し習慣化していく事をやり続けています。 
この私の意識と気づき、実行しようとする勇気と行動は、被害者にしてしまった妻への謝罪の心と、妻に幸せになって欲しいという願いが原動力となっています。
妻には謝罪と感謝の心でいっぱいです。  

こうして52週にわたり、学び気づき実践していく中で、本当に、過去の自分を知り反省し、相手を知ろうとするようになりました。この反省が非常に大きな意義があると感じています。反省を通して過去の自分を知り理解することが、変化していく自分の大きな要因となりました。己を知らずして、変化なしです。
自己中心的な考えから、先ずは相手の事を最優先に考える、自分の周りの全ての人が幸せになるにはで考え言動に移していく、自分が、周りの人を楽しく穏やかで温かくホッとしてもらえるような存在になりたい。その為にはどうしたらそうなれるのかで実践してきました。そうすると、不思議なことに、怒る暇がないのです。自然と、怒りは出なくなっていくのです。

しかし、この私の変化が私の目的ではありません。
私の目的は、被害者の妻が、心の傷を癒し立ち直り幸せになってくれる事です。
変化した自分が、少しでも妻の助けとなり、勇気づけとなり、頑張れる力となり、傷を癒し幸せへと向かえるように、妻の幸せが最優先に実現したときに初めて、私は更生したかと思えるのではないかと思います。

妻の生きる指針である、
『相手を尊重し、自らをよく省みる』
私もこの言葉を生きる指針として、ステップさんにお世話になりながら学び続けていきます。尊敬する妻に少しでも追いつきたいのです。
まだまだの自分で、どうしようもない自分で、それでも努力していこうと、
志して生きていきます。             
by npo-step | 2015-12-01 22:31 |   参加者・体験談、ほか